債務整理

自己破産をするとクレジットカードは持てない!?

クレジットカードは日々の生活においてとても便利なものですが、それは要するに借金です。

自己破産をすると、クレジットカードは止められてしまいます。また、その後新しくカードを作るのも難しくなります。
なぜなら、金融機関に「自己破産をしたことがあるこの人には、借金を踏み倒される危険性がある」と判断されてしまうのです。

この記事では、自己破産後にクレジットカードがどうなってしまうのか解説していきます。

1.自己破産後にクレジットカードはどうなる?

(1) 借り入れのあるクレカはすぐに使えなくなる

自己破産の申立てを弁護士に依頼をすると、弁護士から債権者に向けて「受任通知」というものが送られます。

受任通知とは、債務整理手続きを開始した事を金融機関などの債権者に対して伝えるものです。

ちなみに、受任通知が送られると、貸金業者からの取り立ては完全にストップします(貸金業法21条1項9号)。

この受任通知を受けたクレジットカード会社はカード契約を解約します。

(2) 普段使っていないクレカも全て使えなくなる

「普段使ってないカードならカード会社に借り入れがないから、受任通知が行かない。強制解約はされずに持っていられるのでは?」と思う方もいると思いますが、そんなことはありません。
普段使っていないクレカも全て使えなくなります。

すぐには止まらなくても、その後にクレカの契約更新があったり、カードを利用しようとしたりすると、その際に信用情報と照会され、破産手続きが行われていることがカード会社に伝わってしまうと、結局止められる事になるでしょう(信用情報について、詳しくは次の段落で説明します)。

自己破産手続きを依頼した後は、今まで借り入れがなかったカードが使える状況にあったとしても、絶対に使ってはいけません。
仮に自己破産手続き期間中にクレカを使ってしまった場合、「免責不許可事由」に該当してしまう恐れがあり、そうなってしまうと自己破産が認められなくなってしまう可能性があるばかりか、詐欺罪となり刑事処分を受ける危険すらあります。

[参考記事]

自己破産ができない?!免責不許可事由とは

もっとも、このようなリスクを避ける意味もあって、弁護士は破産申立てを受任した段階で、普段使用していないカードも含めて、すべてのカードを依頼者から回収し、各カード会社に返送するか、ハサミを入れて廃棄してしまいます。
弁護士に提出し忘れたカードがあっても、こっそり利用してみようなどと思っては絶対にいけません。

2.破産後は二度とクレジットカードを持てない?

(1) 持てないのは一定期間

自己破産をした方は、信用情報機関というところに情報が登録されます。これがいわゆる「ブラックリスト」です。

ブラックリストは、一定期間が経過すると消えますが(期間は信用情報機関により異なります)、その期間中は、クレカを持ったり、借金をしたり、ローンを組んだりする事が事実上不可能になります。

と言うのも、新しくクレジットカードを作るには、そのクレジットカード会社の審査を受けなければいけません。

審査をする際、クレジットカード会社は、信用情報機関に登録された情報を見ます。
そこに信用情報が載っていると、「この人は金融事故を起こした人だ」として、審査を通してもらえないのです。

信用情報機関は3つあるのですが、お互い情報交換をしているので、今までと別の信用情報機関を利用している金融業者でクレカを作る、という手段も現実的ではありません。

(2) 破産後いつクレカを作れるようになるのか

信用情報機関のリストに載るのは、5~10年程です。その後ブラックリストから削除されるので、クレジットカードの審査などに通る可能性が出てきます。

信用情報機関は、株式会社シー・アイ・シー(CIC)、株式会社日本信用情報機構 (JICC)、全国銀行個人信用情報センター(通称KSC)、の3つがあります。
CIC、JICCは5年、KSCは10年の間、破産に関する事故情報が登録されます。

なお、クレジットカードが作れない期間中に、闇金業者などから「ブラックでも借りられます」などと書かれたダイレクトメールが自宅に届くこともあるかもしれませんが、絶対に闇金からはお金を借りてはいけません。

闇金は、貸金業者として登録されていない違法業者であり、法律で許された上限を超える高い利息をとるだけでなく、取り立てのために脅迫行為などの手段を選びません。絶対に手を出してはいけません。

3.自己破産後にクレジットカード審査を受ける際の注意点

(1) KSCの会員でない団体のクレカの審査を受ける

KSCの破産手続に関する信用情報の保存期間は10年で、他2つの信用情報機関より長めに設定されています。
もちろん、他の2つの機関も情報交流を利用してKSCの情報を利用できますが、情報の保存期間が短いことは、この2つの信用情報機関を利用しているクレジットカード会社の審査は比較的緩やかであることを示しています(もともと、KSCは銀行系、他の2つはサラ金、信販系)。

したがって、もし自己破産後に新規でクレジットカードを申し込むなら、KSCの会員以外のクレジットカード会社に問い合わせてみたら審査に通るかもしれません。

(2) 自己破産したときに持っていたクレカには申し込まない

信用情報機関の事故情報は5~10年すると消えます。
しかし、信用情報機関の信用情報から消えたとしても、各クレジットカード会社は独自のブラックリストを持っていて、会員だった人の事故情報は半永久的に保存されているケースがあります。

つまり、自己破産の際に持っていたカードは、いくら気に入っていたとしても今後二度と作る事はできない可能性が高い、という事です。
別のカード会社の審査を受けるようにしてみてください。

(3) 一度にたくさんのクレカの審査を受けない

一度に複数の会社のクレカの審査を申し込むことは避けた方がいいでしょう。

一度にたくさんのクレカの審査を申し込んでいるという情報が信用情報機関に登録されてしまうと、クレジットカード会社に「お金に困っている」「返済能力に疑問」と判定され、審査に落とされてしまう可能性が上がってしまいます。

さらに、あるカード会社の審査に落ちてすぐに、別の会社で審査を受けようとしても、信用情報には「最近、クレカの審査に一度落ちている」という情報が載っています。
そうすると「この人は過去に何か事故情報があったのではないか?」と疑われてしまい、審査に通らなくなってしまうことも考えられます。

もし、審査に時間がかかってしまったとしても、一度に複数のカード会社の審査を申し込むことはおすすめできません。

4.自己破産のメリット

ここまでの内容だと、自己破産は色々不便なものと感じてしまうかもしれません。
そこで、最後に、自己破産のメリットも解説します。

(1) 借金が全てなくなる

自己破産すると、借金は完全になくなります。膨れ上がっていた利子も元本も一切関係なく、今後今までの借金を払う義務は一切なくなります(税金、罰金、養育費など、一部の非免責債権は除きます)。

特に、リボ払いで借金を返済していた方の場合、額があまりにも増えすぎてしまうと、毎月の返済のほとんどが利子の返済に回されてしまいます。
そうすると、いつまでたっても借金が減りません。

そういう状況に陥っている方の場合、少しでも早く自己破産などの債務整理を考える必要があります。

(2) 受任通知で取り立て・催促の電話が止まる

前でも説明しましたが、自己破産の際に弁護士が受任通知というものを債権者に送ると、債権者は取り立てや催促が一切できなくなります

2010年の貸金業法改正で現在は乱暴な取り立てが禁止されたとはいえ、自宅や職場に催促の電話がしつこくかかってきたりする事もあります。

しかし、受任通知送付後はそういった対応が一切とまります。もし破ると、その貸金業者は法律で厳しく罰せられてしまいます(貸金業法47条の3第1項3号)。

毎日借金取りに怯えながら生活しなくてもよくなりますので、それだけでも効果があるという方もいらっしゃるかもしれません。

(3) 経済的な再生が見込める

自己破産をすると、借金はすべてなくなる代わりに、5~10年経つまではクレカを持てなかったり、借金ができなかったりしますが、それにより、借金に頼り切った生活から脱却する事ができるでしょう。

これから自分の生活を経済的に立て直すという点で、自己破産はとても効果的です。

5.まとめ

自己破産をすると、クレジットカードを5~10年もの間持てなくなるのは確かにデメリットです。
しかし、借金が全てなくなったり、取り立てが止まったりするという大きなメリットがあります。

自己破産は経済的に苦しい状況から抜け出す、救済措置としてとても強力な債務整理方法です。借金で悩んでいる方は、弁護士にご相談ください。

また、ケースによっては自己破産以外の債務整理方法が良い場合もあります。
あなたにとって最適な借金解決方法をアドバイスしますので、債務整理は、どのようなケースでも一度弁護士にご相談ください。

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