自己破産は無職でも関係なし|無職で借金に苦しむ場合は自己破産
突然リストラに遭うなどして無職になってしまうと、借金の返済をすることが難しくなってしまいます。
このような場合には、自己破産をすることが有効な解決手段となります。
もしかすると、「無職でも自己破産ができるのか?」と疑問をお持ちになる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、自己破産は債務の負担に苦しむ人に対して広く開かれた制度ですので、無職の方でも利用することができます。
この記事では、無職になってしまい借金に苦しんでいる方に向けて、自己破産について解説します。
このコラムの目次
1.無職でできる債務整理は自己破産のみ
借金の負担が重く、生活が苦しいという場合には、債務整理を行うことがおすすめです。
債務整理を行うことにより、借金の金額を減額したり、返済スケジュールを変更してもらったりすることによって、返済の負担を軽減することができます。
債務整理には大きく分けて①任意整理、②個人再生、③自己破産の3種類があり、債務者の状況や希望によって使い分けられます。
しかし、無職の方が利用できる債務整理手続きは、現実的には自己破産のみとなります。
(1) 任意整理・個人再生は返済の見込みが必要
自己破産以外の債務整理手続きである任意整理と個人再生は、いずれも債務者が将来債務を返済する力があると認められる場合でなければ利用することはできません。
任意整理は、債権者との直接交渉により債務の減額や返済スケジュールの延長を認めてもらう手続きです。
任意整理により新たな返済スケジュールが合意された場合、そのスケジュールに従って債務者は借金の返済を続けていく必要があります。
しかし、無職で無収入の場合には、変更後の返済スケジュールによったとしても、借金を返済することは不可能です。
このように、実現可能性がない返済スケジュールを債権者との間で合意することはできませんので、無職の方が任意整理を行うことは事実上不可能です。
また、個人再生手続の開始を申し立てることができるのは、「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込み」がある場合に限られます(民事再生法221条1項)。
無職の方はこの要件に該当しませんので、個人再生手続を利用することはできません。
(2) 自己破産は無職でも可能
一方自己破産は、借金の返済に苦しみ、どうにもならなくなってしまった債務者にとって、最後のセーフティネットとしての機能を有しています。
自己破産を行う際には、収入や職業などによる制限は設けられていません。ただし、破産開始決定から免責までの間は、士業・警備員・保険外交員等、就くことができなくなる職業がある点についてはご留意ください。
そのため、無職の方でも自己破産を行うことは可能です。
以上のことから、無職の方にとっては、自己破産が債務の負担から解放されるための唯一の手段であるということができます。
2.自己破産の特徴
自己破産は、他の債務整理と比べても、もっとも強力な手続きということができます。
自己破産の特徴について簡単に見ていきましょう。
(1) 借金を全額免除してもらえる
自己破産の最大の特徴は、破産手続終了後に借金などの債務を全額免除してもらえる点にあります。
他の債務整理手続きでは、手続き終了後もある程度は債務の負担が残ってしまいます。
しかし自己破産の場合は、債務が全額免除されるため、破産者は生活をリセットしてゼロからの再スタートを切ることができます。
借金の返済が見込めないという方にとっては、この点は大きな魅力でしょう。
(2) 財産は一部を除いて処分されてしまう
しかし、自己破産をする場合には、破産手続開始時点で破産者が所有する財産は原則としてすべて処分されてしまいます。
そのため、家や車など、手元に残しておきたい財産がある場合には、自己破産を回避する必要があります。
しかし無職の方の場合は、特に手元に残しておきたい価値のある財産がないという場合が多いでしょう。
その場合は、生活の立て直しを優先させるために、自己破産が有力な選択肢となります。
なお例外として、99万円までの現金や生活必需品、差押が禁止されている財産(生活保護費)などは、破産手続による処分の対象外となります。
破産者は、これらの処分対象外となる現金などの財産を用いて、その後の生活を送ることができます。
また、破産手続開始決定後に得た財産は、破産手続とは関係なく、破産者が引き続き所有することができます。
このように、自己破産を行ったとしても、その後の生活を送っていくことはできますので、深刻に心配をする必要はないでしょう。
3.自己破産をするための条件
次に、自己破産はどのような人が申し立てることができるのかについて解説します。
(1) 支払不能であること
自己破産の手続きは、裁判所が破産手続開始の決定をするところから始まります。
破産手続が開始されるためには、債務者が「支払不能」の状態にあることが必要です。
支払不能の状態にあるかどうかは、以下の観点から総合的に判断されます。
- 支払能力を欠いていること
- 支払わなければならない債務の大部分を支払えないこと
- 支払わなければならない債務を支払えない状態が一定期間継続していること
無職の方であれば、失業からある程度時間が経っていれば、上記の要件に該当する可能性が高いといえます。
ご自分が「支払不能」の要件に当てはまるかどうかわからないという場合には、一度弁護士にご相談ください。
(2) 免責不許可事由がないこと
破産手続においては、手続き終了後に、原則として債務の免責が認められます(破産法252条1項)。
しかし、破産者に「免責不許可事由」がある場合には、債務の免責が認められない場合があります。
免責不許可事由は、破産者が破産手続に非協力的である場合、支払不能に陥った原因が破産者の責任によるところが大きい場合など、債務の免責を認めるのが適当でないと考えられる場合を定めています。
よく問題になるケースは、ギャンブルや浪費によって借金を作ってしまった場合や、2度目以降の破産(前回から7年以内)の場合です。
これらに当てはまる場合には、自己破産をしても債務の免責が認められない可能性がある点に注意しましょう。
(3) 裁量免責が認められる場合もある
免責不許可事由がある場合であっても、裁判所の職権で債務の免責が認められる場合があります。これを「裁量免責」といいます。
裁量免責を認めてもらうためには、破産手続に誠実に協力することはもちろん、裁判所に対して免責の必要性を適切に訴えることが重要になります。
もし免責不許可事由に該当してしまっている場合には、弁護士のサポートを受けて、裁量免責を得られるように破産手続に向けた準備をしましょう。
4.自己破産をする場合は弁護士にご相談を
無職の方が借金を抱えたままの状態でいると、いつまでも苦しい状態をリセットすることができず、生活を立て直すことは困難です。
自己破産は無職の方でもできますので、借金にお困りの際にはぜひ弁護士にご相談ください。
弁護士は、自己破産に関する豊富な経験を活かして、依頼者の方が自己破産を機に新たなスタートを切れるよう全力でサポートいたします。
まずはお気軽に、泉総合法律事務所の弁護士へご相談ください。
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