個人再生手続きに必要な書類を解説
個人再生は、借金を大きく減額できる債務整理です。
自己破産にあるような財産処分のデメリットもなく、借金で困っている人にとってはまさに地獄に仏ともいえる制度でしょう。
しかし、その手続は複雑で、必要な書類も多岐にわたります。
「どんな書類が必要なのだろう?」と疑問に思う人も多いはずです。
そういった方々のために、本記事では個人再生のときに必要な書類を紹介していきます。
自分で何を用意すればいいのか、どのくらい書類が必要なのか、いつまでに必要なのか。
これらのことがわかるように記載していきますので、ぜひ参考にしてください。
1.個人再生の基礎知識
最初に、個人再生のことを簡単に説明します。
個人再生は、裁判所に申立てをして行う債務整理です。
借金を概ね5分の1~10分の1にまで減額してもらい、減額された借金を原則3年程度(場合によっては4年、5年)かけて毎月少しずつ返済していきます。
定期的な返済が前提となるので、申立人には反復的かつ継続的な収入があることが求められます。
そのため現在の収入を証明できる書類の提出が不可欠です。
また、全ての債権者を平等に扱わなければならないので、債権者に関する正確な書類も提出しなければなりません。
そういったことに留意して、必要な書類を見ていきましょう。
2.個人再生の必要書類
では、個人再生の流れとともに、必要な書類を紹介していきます。
なお、ここからは弁護士に依頼することを前提として話を進めていきます。
自分で用意する書類と弁護士に用意してもらう書類についてもそれぞれ紹介します。
(1) 個人再生申立時
個人再生を裁判所に申立てするときには、以下の書類が必要です。
①自分で用意するもの
基本的に作成する必要はなく、集めるだけの書類です。
ただし、種類が非常に多いので、集めるのにかなりの時間がかかることが考えられます。
- 個人を特定できる書類(住民票や戸籍謄本)
- 債務に関する書類(借用書や返済予定表、明細書など)
- 財産や家計に関する書類(後述)
- 住宅ローン特則を利用する場合は、登記事項証明書、ローン契約書や住宅の間取り図、返済予定表など
財産や家計に関する書類には、以下のものがあります。
- 給料明細や源泉徴収票
- 通帳(コピーでも可)
- 退職金見込み額証明書
- 所得課税証明書
- 登記事項証明書や固定資産評価証明書(不動産を持っている人)
- 賃貸借契約書(賃貸住宅に住んでいる人)
- 車検書や登録事項証明書(車を持っている人)
- 同居している人の給料明細(扶養を受けている人)
- 保険証書や解約返戻金証明書(保険に入っている人)
- 年金通知書など(公的扶助を受けている人)
- 財産の査定書(宝飾品など価値のある財産を持っている人)
なお、税金などを滞納している場合は、納税通知書や督促状も必要です。
②弁護士に用意してもらうもの
以下の書類は裁判所から取り寄せて記入する必要がありますが、弁護士が作成を代行してくれます。
そのため、依頼人が全く手を触れない、または目にする機会がないことも多いです。
- 申立書
- 陳述書
- 財産目録
- 家計簿
- 債権者一覧表
弁護士がこれらの書類を作成してくれるとはいえ、作成するための情報は依頼人が用意しなければなりません。
既に紹介した書類を用意することはもちろん、弁護士から追加で「こんな書類が必要です」と言われることも考えられます。
弁護士に指示に従って、必要な書類を集めて提出してください。
個人再生の申立てをすると、個人再生委員(選任された場合)との面談が行われます。
このときは、特に書類は要りませんが、弁護士と一緒に面談に望む必要があります。
借金の理由や内容、返済の見込みなどについての質問が行われるため、不安がある場合は弁護士の指示を受けて、前もって確認しておきたい資料を持参するといいかもしれません。
(2) 再生手続の開始決定
問題がなければ、無事に個人再生手続が開始されます。
開始決定を受けたらすぐに「財産状況等報告書」を裁判所に提出しなければなりません。
個人再生申立て時から財産の状況が変化している場合は、この書類に記載します。
特に変化してない場合は「財産目録に記載したとおり」の欄にチェックを入れて提出すれば問題ありません。
その他、「再生手続きに至った事情」や「財産に関する経過及び現状」などの欄がありますが、特に補足がなければ該当する欄にチェックを入れるだけで問題ありません。
変更や補足がある場合でも、弁護士と協議しながら作成すれば大丈夫です。
(3) 債権認否
個人再生手続が始まると、裁判所が各債権者にそのことを通知します。
これを受けた各債権者は、それぞれが主張する債権額を裁判所に届け出ます。
申立人はそれを見て、債権(債務)の額が間違いないか認めるための判断を行い、以下の書類を提出します。
- 債権認否一覧表
- (異議のある場合は)異議書
債権(債務)の額に異議がある場合は、該当する欄にチェックを入れて、別途異議書を作成して提出する必要があります。
異議書には債権者名と異議の内容を記載してください。
これも弁護士とともに作成すれば問題ありません。
(4) 再生計画案の提出
債権(債務)の額が確定したら、「再生計画案」というものを裁判所に提出しなければなりません。
これは簡単に言えば、個人再生後の返済計画案です。
以下の書類の提出が必要です。
- 再生計画案
- 弁済計画表(どの債権者にいつ、いくら支払うかを記した表)
- 弁済許可申立書(住宅ローン特則利用時のみ)
上記の書類はすべて弁護士に作成してもらいます。
基本的に依頼人が作成することはないので安心してください。
(5) その後
この後は、特に必要な書類はありません。
個人再生の流れとしては以下のようになります。
- 面決議
- 再生計画認可決定
- 再生計画認可決定の確定
- 再生計画に沿った返済の開始
なにかトラブルがあったとしても、その都度弁護士に対応してもらえば大丈夫でしょう。どうぞご安心ください。
3.個人再生は弁護士に依頼して解決を
個人再生には書類がたくさん必要です。
特に申立てをする前には、多くの書類を自分で用意しなければなりません。
全ての書類を用意するだけで1ヶ月程度かかることも考えられます。
個人再生をする人の職業や裁判所によっては、別途他の書類の提出を義務付けられることもあります。
これに加えて、再生計画案の作成まで自分で行うとなると大変です。
裁判所に認めてもらえる再生計画案を作るためには膨大な時間と労力が必要になり、提出できなければ個人再生手続を打ち切られてしまう可能性もゼロではありません。
個人再生を自力で成功させることは非常に困難です。
しかし、弁護士に依頼をすることで、成功の確率は飛躍的に高くなります。
書類を集めるだけでも、弁護士の指示を受ければかなり効率的に達成できることが多いです。
個人再生をするときは、ぜひ弁護士に依頼するようにしてください。
個人再生は、借金問題の解決に力を入れている泉総合法律事務所の弁護士にぜひ一度ご相談いただければと思います。
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