債務整理

自己破産後にクレジットカード(クレカ)は使えるのか?

「自己破産後はクレジットカードを使えなくなる」「自己破産をするとクレジットカードを作れない」
このような噂を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

結論から言うと、自己破産後に今持っているクレジットカードは使えなくなってしまいます(実際に利用していないカードも含みます)。
また、自己破産後しばらくは新しいクレジットカードを作れません。

しかし、クレジットカード無しの生活が嫌だからと言って自己破産を先延ばしにし続けても、メリットはありません。
自己破産は経済的に苦しい状況から抜け出す、救済措置としてとても強力な債務整理方法です。

今回は、自己破産後のクレジットカードについて、皆さんの漠然とした不安を取り除くために詳しく解説していきます。

1.今あるクレジットカードの破産後の扱い

冒頭でも述べましたが、自己破産をすると、今あるクレジットカード(クレカ)は使えなくなります

まず、自己破産を弁護士に依頼すると、弁護士は各債権者に「受任通知」というものを送付します。
これは、弁護士が「本件の債務者は債務整理をすることになり、私が代理人弁護士です。以降の連絡は全て私にしてください」ということを債権者に伝えるためのものであり、受任通知を受け取って以降、債権者は債務者に直接取り立てをすることができなくなります(貸金業法21条1項、サービサー法18条)。

クレジットカードの返済を滞納している場合、そのクレジットカード会社にも当然受任通知が届きます。
すると、受任通知を受けたクレジットカード会社は、「この人は自己破産(債務整理)をするのだから、もうお金は返済されない」として、カードを強制解約するのです。

よって、自己破産を弁護士に依頼すると、滞納があるクレジットカードは比較的すぐに使えなくなってしまいます。

また、滞納がない(利用していない)クレジットカードも、自己破産をすると使えなくなります。
詳しくは後述しますが、自己破産をするという事実は、貸金業者・クレジットカード会社などの間で共有されるので、更新時の審査や途上与信(カード利用中の審査)をきっかけに債務整理の事実が明らかになり、「この人にお金を貸しても返ってこない可能性がある」として、カードを解約してしまうのです。

なお、滞納がないカードを「まだ使える」と思って自己破産の直前・直後に使ってしまった場合は、「返せる見込みがないのにお金を借り入れた」として「免責不許可事由」に該当してしまう恐れがあり、最悪の場合自己破産に失敗する可能性があるので、大変危険です。

2.自己破産後のカードの作成

自己破産をする時に手持ちのカードが使えなくなるのならば、破産手続きが終わってから新たにクレジットカードを作れば良い!と考える方がいらっしゃるかもしれませんが、実はこれも不可能です。

(1) 破産後にカードが作れなくなる理由

先述しましたが、自己破産をするという事実は各企業(貸金業者・クレジットカード会社など)間で共有されます。

より詳しく言うと、「自己破産などの債務整理をした」という「事故情報」が「信用情報機関」というところに保存されてしまい、クレジットカード会社はカードの新規契約の際にその信用情報機関を参照して審査をするので、事故情報を確認できた時点で審査に通さないのです。

新規のクレジットカード作成だけでなく、ローンを組む際の審査でもこれは同様で、これを俗に「ブラックリスト入りする」と言います。

なお、信用情報機関は複数あり(CIC、JICC、KSCなど)、各金融機関はそれぞれ別の信用情報機関に加盟をしていますが、信用情報機関は相互に情報を共有していると言われています。

そのため、仮に「破産前はJICCに加盟しているクレジットカードを使っていたけど、破産後はCICに加盟しているカード会社に申請しよう」と思っても、JICCとCICは情報を共有しているため、CIC加盟のカード会社の審査にも通らなくなってしまうのです。

(2) 破産後いつから(何年で)カードが作れるのか

「それなら、自己破産後はどのカード会社のクレカも一生作れないのか」と落胆する必要はありません。

信用情報機関の事故情報は、一定期間が経過すると解除されます。

自己破産の場合、クレジットカード会社の多くが加盟しているCICとJICCが最短5年、KSCが10年となっています。

この期間が経過すれば、新たにクレジットカードを申し込みしても審査に通る可能性があります。
(新規のカード作成に関する細かな注意点は後述します。)

なお、カードが使えない数年間に、闇金からの勧誘があるかもしれません。闇金は信用情報を参照しないので、自己破産をした人にもお金を貸してきます。

しかし、闇金は違法な利息を設定し、厳しい取り立てを行う違法業者です。絶対に利用しないようにしましょう。

3.自己破産後のカードの作り方・注意点

では、自己破産から5年以上経過したとして、新たにクレジットカードを作る際の注意点は何かあるでしょうか。

「二度と滞納を繰り返さないよう、クレジットカードは計画的に利用すると心に決めて作成する」というのは勿論ですが、その他にも、以下のような点に注意する必要があります。

(1) 信用情報を自分で確認する

実は、「審査落ちをした」という事実も、信用情報機関に掲載されてしまいます(掲載期間は半年間のようです)。
そのため、むやみやたらにカードの新規申し込みをして審査落ちをしてしまったら、カードの作成の現実は更に遠のいてしまいます。

よって、確実に信用情報が消えていることを確認するために、一度ご自身で情報の開示請求をすることをお勧めします。

信用情報は、自ら開示請求をすることができます。自己破産から5年経過しているなら、CICとJICCそれぞれに開示請求を行い、事故情報が消えているかを確認しましょう。

「数え間違えでまだ5年も経過していなかった」「機関のミスで事故情報がちゃんと消えていなかった」ということも有り得ますので、新規のカード契約を申請する前に、しっかりと確認するようにしましょう。

(2) 自己破産したときに持っていたカードには申し込まない

晴れて信用情報機関から事故情報が消えても、自己破産をした時に所持していて強制解約されたクレジットカード会社には申し込まない方が無難です。

各企業は、社内に独自のブラックリストを持っていることがあります。これは、信用情報機関の事故情報とは違い、半永久的に消えません(社内ブラック)。

新規のクレジットカードを申し込む際には、これまで契約をしたことがないカード会社を選ぶようにしましょう。

(3) KSCの会員でない団体の審査を受ける

KSC(全国銀行個人信用情報センター)の信用情報の保存期間は10年と、他の信用情報機関より長めに設定されています。

KSCは、主に銀行や信用金庫、協同組合が加盟しているため、カードを作成する際には意識しなくても問題ないと言えますが、5年経ったからと言って銀行のカードローンに申し込みをすると審査落ちする可能性が高いです。

先述の通り、審査落ちの履歴も事故情報として記録されてしまいますので、ご注意ください。

4.まとめ

自己破産後は、確かにクレジットカードを使うことができません。今持っているカード全ては強制解約されてしまいますし、破産後最低5年は新規のカード契約も不可能です。

しかし、これは我が身を省みるチャンスです。
クレジットカードを持たないということは、身の丈に合わない買い物ができないということです。これは、経済的な更生のためにも有効な状況でしょう。

また、ネットショッピングなどでどうしてもカードを使いたいという場合は、審査のないデビットカードを使うこともできます。デビットカードは口座から直接お金が引き落とされるので、こちらも身の丈以上の無駄使いをしないで済みます。

自己破産をすれば、受任通知により取り立てや督促が止まり、最終的にはほとんど全ての借金を免除してもらうことができます。
今よりもずっと生活が楽になり、人生の新たなスタートを切ることができるので、「クレカが持てなくなる」ということのみ気にして手続きを先送りにせず、一度弁護士にご相談ください。

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