法人破産 [事例5]

海外の製造委託先の倒産により製品納期が遅延し、資金繰りが悪化・倒産した事例

ファブレス業
債務整理方法借金総額
破産 1700万円 ⇒ 0円

背景

社長様(以下、Aさんと呼びます)は、顧客から受注を受け、その製造を第三者である海外の製造業者に委託し、完成した製品を顧客に納入するという、いわゆる「ファブレス業」の一種を、個人事業として行っていました。
事業の規模が大きくなったために法人化し、会社として初年度で売上3000万円、3年後には売上5000万円以上を達成するなど、経営は順調でした。もっとも、売掛金の回収と委託費用の支払とのタイミングで一時的に手元不如意になることはありましたが、その際にも金融機関から難なく融資を得ることができましたし、受注は安定していたために委託費用や融資の返済が滞ることはありませんでした。平成20年のリーマンショックの際にも、受注数の減少・受注単価の切り下げ等によって売上が落ち込んだものの、Aさんの経営努力によって会社は危機的状況にまでは至りませんでした。
ところが、そんな折、製造を委託していた海外の業者が倒産して事業停止に至ったため、顧客に対して期限通りに製品を納品することが困難になってしまいました。急遽、別の製造業者への委託等を手配しましたが、結局、期限通りの納品は不可能となり、Aさんの会社の資金繰りは急激に悪化しました。
「今後の事業継続は非常に厳しいのではないか」と強い不安を感じるようになったAさんは、当事務所へご相談にいらっしゃいました。

対応

Aさんの会社は、海外の製造業者に対し、製品の完成度合いに応じた委託費用を支払済であったところ、当該製造業者との委託契約の内容から判断すると、当該製造業者の工業内にある完成品や仕掛品について、Aさんの会社が所有権を有しているものが少なからず存在しているはずでした。
しかし、当該製造業者の倒産に伴う混乱等の中で、これら製品・仕掛品の所在が不明になっていました。
当事務所としては、事案が海外であること、ご依頼時から1年以上前の話であること、Aさんとしても懸命に調査を行ったこと等から、これらの資産の所在を突き止めるのは容易ではないと考えました。
しかし、裁判所や破産管財人への説明に万全を期すため、念のため、Aさんに対して現地の知人に依頼して重ねて調査を行って頂くよう、依頼しました。
また、営業停止時に預金口座から大きな金額の出金がありましたのでこの点をAさんに確認したところ「従業員の最後の給料と、解雇予告手当に充てた」との回答でした。
会社が危機的状況にある中での金銭の動きについては裁判所や破産管財人が入念に調査する傾向があるため、Aさんに対しては、「今後、管財人などから調査を受けてもきちんと回答できるよう、資料を整備していきましょう」とお伝えました。

結果

結局、製品・仕掛品の所在を明らかにすることはできなかったものの、Aさんの調査活動の結果等を裁判所に報告したところ、「資産の調査は実質不可能である」との判断が下りました。
この点、状況如何ではAさんに対して製品・仕掛品を散逸させた責任を追及される可能性も想定されたところです。しかし、Aさんの資産調査に対する懸命かつ協力的な姿勢が評価され、責任追及を受けることはありませんでした。
営業停止直前の金銭使途についても、Aさんは未払給与や解雇予告手当等の金額を正確に計算し、かつ、関連資料を整理・保存していましたので、裁判所からも「支払いには不当性なし」との判断を受けることができました。
最終的に、債権者から異議を出されることもなく、無事に破産手続は終了し、会社名義の借金1700万円は0円になりました。

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