生活保護と自己破産はどちらが先?同時に申し込める?
失業、病気、不慮の事故など、長い人生の中で仕事ができなくなるときがあります。また、仕事をしていても収入が大幅に下がることもあるでしょう。
そうしたときに、返しきれないほどの借金があったらどうすれば良いのでしょうか?
生活保護を受けなければならないほど苦しい状況の中で、到底借金返済をすることはできません。
自己破産と生活保護を同時に申請することはできるのでしょうか?また、申請するとしたらどちらを先にすべきなのでしょうか?
このコラムの目次
1.自己破産と生活保護
自己破産と生活保護は、どちらもお金で困っている人を救済する意図をもったものです。
(1) 自己破産とは
自己破産は、借金の返済ができなくなった人の経済的再生を図るためのものです。
自己破産の申立てを行い、裁判所で認可されれば借金は全て免除されます。
ただし、自己破産は借金免除の代わりに高価な財産は換価され、債者に配当されます。
自己破産をすると住宅や車などの資産のある人は手放さなければならないので、失うものも大きいですが、借金が全てなくなるのは大きなメリットです。
自己破産は、支払不能の状況になっていれば誰でも申立を行うことができます。
(2) 生活保護とは
生活保護は自らの資産や能力を全て活用しても生活が困難な方に対して保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保証しつつ、その方が自立できるよう支援するための制度です。
生活保護を受給すると、必要に応じて家賃、医療費、介護費、生活費などの支援を受けることができます。
生活保護の対象になるのは以下のようなケースです。
- 病気で働けなくなった
- 失業で家族が路頭に迷っている
- 困窮をしているが親族からの援助はない
- 年金など各種制度の給付もない
- 収入もなく預貯金もない
- 収入が少なく、国が定める最低生活費を下回っている
借金を抱えていることで生活が困窮しているのであれば、まず自己破産をして借金をなくすことが先決ですが、仮に借金を返済しても上記の様な状態で、生活困難ということであれば生活保護も必要です。
しかし、生活保護費から借金の返済をすることはできません。生活保護はあくまでも生活に使うためのお金であり、借金返済の原資とすることは認められていないのです。
そうなると、借金返済のお金も生活費もない方は、どうしたら良いのでしょうか?
自己破産と生活保護の両方が必要なケースは決して少なくありませんが、どのようにしたら良いのでしょうか?
2.生活再建のためにどちらを先に手続きするべきか
自己破産と生活保護が同時に必要なとき、結論から言えば、自己破産も生活保護受給も同時に行うことは可能です。
(1) 一定の収入や資産がある場合
一定の収入や資産はある場合は、借金をなくせば生活再建が可能となるので、自己破産のみで問題が解決します。
自己破産をすれば資産については処分されますが、収入があればその後の生活は可能です。
よって、借金問題だけ解決すればよく、生活保護を申請する必要はありません。
(2) 収入や資産がない場合
収入や資産がない場合、自己破産後の生活再建のために生活保護が必要となります。
生活保護費で借金の返済をしたことが分かると生活保護の受給を打ち切られる恐れがありますし、借金返済に充てられる恐れがあると分かれば、そもそも生活保護の受給ができない可能性が高いでしょう。
そうだとすれば、資産や収入がない場合は、最初に自己破産をして、それから生活保護の申請をすることになりそうです。
しかし、収入や資産がない場合は、今すぐに生活費の援助が必要なケースが少なくないので、悠長なことは言っていられません。
まずは、すぐに弁護士へご相談ください。弁護士に相談をすれば生活保護の申請と自己破産のための準備をほぼ同時並行で行うことが可能です。
弁護士費用が手元になくても大丈夫です。その理由についてこれから詳しくご説明します。
3.弁護士費用問題の打開策
では、生活保護と自己破産の両方が必要な方で、収入や資産がない方が弁護士に一刻も早く相談をするメリットをお伝えします。
まず最初に、弁護士のところに相談に行きます。弁護士に相談をするときは基本的に相談料が必要ですが、費用の工面が難しい場合は無料相談を行っている事務所を選ぶことをおすすめします(泉総合法律事務所も相談料無料です)。
弁護士事務所に相談に行く際は、弁護士費用の用立てが難しいことも遠慮なく伝えましょう。
詳しくは後述しますが、費用の工面が困難な方に向けた「法テラス」という制度もあります。
また、弁護士に依頼をして、受任通知が送られると、債権者からの督促が止まります。業者は受任通知を受け取ったら、以後は債務者本人に借金の督促をしてはいけないことになっています。
受任通知が送付された後は、返済を迫られることはないことから、債務の支払いもストップできますし、「生活保護費から返済」という可能性は消えます。
この段階にきたら、いよいよ生活保護の申請をします(なお、先に生活保護申請をしてからすぐに弁護士に債務整理の相談をするという流れもありえます)。
生活保護の申請については、自分で社会福祉事務所に行って生活保護の相談・申請を行います。その際に、弁護士の受任通知を持参していくと、生活保護費を借金返済に充てないことの証明になるので話がスムーズです。
生活保護の申請の仕方はインターネット上に情報がありますし、社会福祉事務所でも手続き方法を教えてもらうことはできます。
4.生活保護と法テラス
法テラスは正式名称を「日本司法支援センター」と言い、経済的に困窮しているが法律扶助を受けられるように設立された組織で、一定の基準以下の収入であれば弁護士費用を立て替えてもらうことができます。
自己破産手続きの弁護士費用は、実費と着手金を併せて一般的には25~35万円程です。
また、自己破産をするときは、弁護士費用の他に裁判所に自己破産申立費用(予納金)を納める必要が必要となります。
自己破産をする人、生活保護を受ける人は、こうした費用の工面も困難ですから、法テラスを利用して費用を立て替えてもらうことも考えられます。
法テラスが立て替えをするのは基本的に弁護士費用だけですが、生活保護受給者の場合は予納金についても基本的に立て替えてもらえます。
ちなみに、生活保護を受けている方の法テラスの利用については、生活保護を受ける前か後かで、立て替え費用の返済義務の有無が変わるので、ここはぜひ押さえておいてください。
(1) 生活保護を受ける前
生活保護を受ける前に法テラスを利用する場合は、弁護士費用はあくまでも立て替えてもらうだけで、自己破産手続きが終わったら費用を分割で返済していくことになります。
分割は月々5,000円~10,000円ほどです。
(2) 生活保護をすでに受けている
生活保護を既に受けている方については、法テラスの料金を免除してもらえることもあります。
自己破産手続きが終了した時点で生活保護を受給している場合、ほとんどのケースで返済免除が認められます。
よって、自己破産手続終了までに生活保護を受給できるようにすると、費用をかけることなく自己破産ができる可能性が高くなるので、自己破産手続が終わる前に生活保護が認められるよう、順序良く行動していくことが肝心です。
5.自己破産の相談は弁護士へ
弁護士から債権者に受任通知が送付されれば、督促はストップします。返済する必要がなくなれば生活保護申請もしやすくなります。
そして、自己破産手続き終了前に生活保護が認められれば、立て替え費用の返済は大抵免除されます。弁護士に依頼をするメリットは計り知れません。
弁護士に相談をしたいけどそのお金もない、という方のために、泉総合法律事務所は自己破産の相談を無料で行っています。
当事務所は自己破産の経験が豊富にございます。また、生活保護をお考えの場合は、相談者様にとって最も良い方法での解決策も提案させて頂いております。
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